生後8ヶ月 赤ちゃんの発達と関わり方

生後8ヶ月は子育てにおいて新たなステージの入り口。心も大きく発達し、自分の気持ちを、声や身振り手振りなど、全身を使って伝えてくるようになってきた赤ちゃんは、感情がはっきりしてくるため、希望がかなえられないと泣いて怒ったり、手足をバタバタさせて大声を出したりなど、自己主張をするようになります。
そのため、これから先は子育ての大変さをより実感する時期でもあります。
そんな時でも子供の発達心理を知っていれば気持ちがぜんぜん違います。

ここでは、発達心理学に基づいた生まれたての赤ちゃんの発達と、具体的関わりかたををご紹介します。

出典:写真AC

生後8ヶ月の赤ちゃんの特徴

情緒が発達してきて、手のかかることも増えるけど、かわいさも倍増する時期。
成長は一人一人違います。その子なりの成長を見守ってあげて下さいね。

はいはいをする赤ちゃんも

ハイハイは、赤ちゃんの腰がすわり一人で歩き出すまでの間に、移動手段の一つ。このハイハイ」赤ちゃんにとって絶対に必要な成長ステップではないそうで、実際ハイハイをしないまま立っちする子も沢山います。
しかし、ハイハイが発達・発育にもたらす影響は、大きなものがあります。
そして「ハイハイする我が子を見たい」というのも親心ですね。

ハイハイは腕と腰、脚を使って胴を支えられる必要があります。そして手を脚を交互に動かして進むものです。バランス感覚に加え、腹筋、背筋、腕筋、そして腸腰筋を鍛えます。腸腰筋は、背骨、腰骨、太ももの骨を繋いでいる下半身のとても大切な筋肉で、多くのアスリートが、一生懸命鍛えようとするインナーマッスルです。

このためハイハイをたくさんさせると運動神経がよくなると言われるのは、この腸腰筋がハイハイによって鍛えられることに大きく影響があると思われます。

ハイハイをせずに成長すると腸腰筋が鍛えられないので、バランス感覚の発達が遅れてしまいます。
さらにこの時期に適切な腸腰筋の使い方を学ばないと、将来、腰痛の原因になるようです。

そして、もう一つ見逃せないのが、生理的湾曲(S字カーブ)についてです。
生理的湾曲は、歩く時の振動を吸収するため」「体のバランスをとるため」「神経を守るため」の大切なカーブです。

生理的湾曲というものは赤ちゃんの時に出来てきます。最初生まれたての赤ちゃんは背骨は丸くなった状態(Cカーブ)(図の胎児)なのです。生後3ヶ月くらいで首のカーブが出来てきます。(図の幼児)次に6~7ヶ月くらいで、腰のカーブが出来てきます。(図の学童)
この時にはハイハイが出来るようになるのですが、ハイハイする際には、赤ちゃんは背中を反っています。この背中の重さに長期間さらされることによって、徐々に腰の骨の生理的湾曲(頚椎の前弯の形成)を獲得していくのです。そして立っちの時には腰椎の前弯が形成されてきます。
このように、ハイハイと立っちでは形成される部分が違います。

早く歩かせようとして、つかまり立ちをさせたり、手を持って歩かせるのはダメです。
湾曲を早く作りすぎてしまって、きれいなS字カーブにならないと、例えば、頸椎の前弯が弱すぎるとストレートネック(直頸椎)、胸椎の後弯が強すぎると猫背(円背)、腰椎の前弯が強すぎると反り腰などになってしまい、将来、肩こりになったり、腰痛になったりとゆがみやすい子供になってしまいます。そのためたくさんハイハイをさせてあげることが大切です。

最近の赤ちゃんはハイハイをほとんどしないで立ってしまうことが多いそうです。そんな赤ちゃんは遊びとしてハイハイをするようにしてあげて下さい。ママも一緒にハイハイをすると体幹も鍛えられ、いい運動になりますよ!

おむつ交換が大変に

お座りも上手になって、ずり這いやハイハイをしだすと、寝かされることを嫌がっておむつ交換が大変になってきます。
お気に入りのおもちゃや、スーパーの袋など(カチャカチャする音が赤ちゃんは大好き)を渡して乗り切って!

目の機能がさらに発達・・・注意することは

生後8ヶ月は目の機能がさらに発達して立体視できるようになり、奥行きや上下左右、自分と物の距離の把握もだいたい出来るようになります。

赤ちゃんや子どもに起こる目の異常の中でも見つかりにくいのが斜視や弱視です。この時期、後天的な斜視などの問題があると弱視になりやすいので注意が必要です。
発見や治療が遅れると視力が発達せず、立体的にものを見る力も育ちません。

斜視の原因としてはさまざまありますが、ほとんどは目を動かす筋肉や神経の異常によるものや遠視によるものだそうです。
そのため両方の目を均等に使えるように働きかけることが重要です。そして日頃から赤ちゃんをよく観察し、気になる症状があれば、眼科を受診してください。斜視は早期に発見して治療することが大切です。

発育・発達の目安

男の子 身長 70.6cm 体重 8,500㌘
女の子 身長 69.2cm 体重 7,970㌘

視力 0.1(赤・青・黄の区別がつく)

聴力 身の回りの音に対して敏感に反応するようになる

ここに表した、特徴や発育・発達はあくまで目安であり、成長の度合いはひとりひとり大きく異なります。参考程度にとどめ、あまり気になる時はかかりつけ医などに相談してみましょう。

生後8ヶ月の赤ちゃんとの遊び

乳児期(0歳~1歳半ころ)の発達課題は基本的信頼感です。そして対極にあるのが不信感です。
詳しくはこちら→基本的信頼感/不信感

生後8ヶ月は、夜泣きや人見知りといったママもちょっと手を焼くことも増えますが、体をつくる大事なとき。日中はしっかり遊んで運動機能の発達、社会性の発達などを促してみて下さいね。

スキンシップ&体遊び

生後8ヶ月ごろの赤ちゃんとの遊びは、全身を使った遊びや手遊びがおすすめです。

ここでは、いくつかのスキンシップと体遊びをご紹介します。ひとつの遊びでもバリエーションはいろいろあります。それぞれの親子にあった方法で取り入れて、楽しく遊んで下さいね。

  1. ここまでおいで・・・ママもハイハイして赤ちゃんの少し前へ進み「○○ちゃん、ここまでおいで~」といって誘う。 (S字カーブの形成)
    ポイント・・・ママもハイハイすることで、赤ちゃんも真似しやすくなります。
           近づいてきたら少しずつ離れて「もうちょっと!」と促す。
           ある程度進んだら、「頑張ったね!」と言って、思いっきりハグして
           あげて。
    バリエ・・・逆にママが「待て待て~」と追いかけても。

  2. キャッチ出来るかな・・・風船などふわふわしたものを上から落としたり転がす(目と手の協応)
    ポイント:「いくよ-」と声を掛けて落としてあげる

  3. ドラマー・・・お菓子の空き缶や空き箱など叩くと音がなるものをドラムにみたて、ラップの芯などを2本用意して叩いて遊ぶ(リズム遊び)
    バリエ・・・一人遊びの時は音楽をかけて、一緒に遊ぶときはママが童謡などのやさしい
          歌に合わせてトントン叩いてお手本をみせてあげる

  4. おむすびころりんすっとんとん・・・空の段ボールにカッターで直径20㎝ほどの丸い穴をあけます。新聞紙などのいらなくなった紙(ハリのあるものは手を切りやすいのでご注意を)を、最初はママがビリビリ破き「おむすび、ころりんすっとんとん」といって丸めてから箱に入れます。(手の発達・手と目の協応)
    ポイント・・・赤ちゃんが新聞紙をなめたりするようであれば止めてくださいね。
        
  5. その他・・・絵本の読み聞かせ、お散歩、リズム遊びなど引き続き取り入れて下さいね。

まとめ

お座りがしっかりできるようになると、手軽なB型ベビーカーも使えます。天候などに気をつけて、快適な時間帯に積極的に外に出かけてみましょう。

ときには芝生のある広い公園や夏には水遊びできる公園など、自然の中で思いっきり自由にさせてみるのもいいのでは? 赤ちゃんを裸足にしてハイハイさせるととてもいい刺激になります。ちょっと土がついたり、なめたりしたくらいでは赤ちゃんは病気になりません。 犬のフンなどには気をつけ、広い空間でおもいっきり遊ばせてあげてみて!